心を許してくれるまで・・・

猫君がやってきた日は、結局、姿を一度も見せてくれなかった。

ずっとベッドの下の奥でうずくまったまま。

深夜、電気を消してしばらくすると、遠くで砂の音・・・
トイレがまんしてたのね（笑）

ちょっと安心して私は長い一日を振り返りながら眠りにつく・・・・

が、バリバリとスゴイ音で目が覚める。
ブラインドにしがみついて必死で逃げようとし、ウオーンと叫び始めた。
興奮状態で手がつけられず、おろおろするばかりの私。

近所に知られてしまう〜〜。
直ぐ上の住人は、ワンワン鳴く犬を飼ってるし、どうしよう・・・
おとなしかった猫の豹変振りにもついていけず、これが毎晩続き
ブラインドも下ろせない無用心な生活にも不安になり、私も飼う自信が
なくなってしまったのである。とほほ・・・

猫の名前は、来た当日、たまたま電話で話していた知り合いが
ユニークな人で「寅吉」「とらべえ」と冗談半分で言ったのがえらく気に
いったので、「とらべえ」と決めました。
名付け親？Mr.kenは実物を見たことありません。（笑）

３ヶ月が過ぎた頃、まだそばにも来ないし、昼間は姿さえ拝めないので
猫の都合より、自分の国外逃亡を優先させ３週間ほど病院に預ける
ことにした。（半ば開き直り・・・放棄？？？）

３週間ぶりに、とらべえと私は再会し我が家に戻ったら、猫も病院より
広い家の方が良いことがわかったのか、なんと足元にスリスリ〜。
子猫ならもっと早く仲良くなれただろうに、成猫で３歳ぐらいまで
気ままな野良ネコだったので、閉じ込められる生活は彼にとっても
大変な事だったのでしょう。。

預かってくださった病院は、オシッコトレーニングや去勢手術を受けた
ところで、事情を知ってか人馴れトレーニングもしてくださったのかも！

１０数年経った今でもこの時のことは思い出せます。嬉しかったぁ。
猫ノイローゼ気味だったのが、これで一緒に暮していけると確信できた日です。

夜の見張り・・・大好きな猫の背中　１９９６